パネルヒーター、正しく使おう!

皆さん、爬虫類用PTC式パネルヒーターを使っていますか?

このPTC式パネルヒーター、「安心安全」な暖房器具として、家庭用の床暖房にもまったく同じ原理、材質のものが使用されています。

パネルヒーターの仕組み

PTC式パネルヒーターの仕組みを解説していきます。

PTCとは、(Positive Temperature Coefficient)の略で、厳密にはPTC”サーミスタ”式パネルヒーターと呼んだ方が正しいと思います。

●PTC・・・正温度係数
●サーミスタ・・・温度変化に対して電気抵抗が大きく変化する抵抗体

つまり、PTCサーミスタ式パネルヒーターは、温度の上昇とともに電気抵抗が増加する抵抗体式のパネル状ヒーターということになります。

PTCサーミスタは、一定温度に達するまでは、ほとんど抵抗値が変わらず、その後、急激に抵抗値が増大するという特徴があります。
特に、床暖房や爬虫類用で使用されているものほとんどは、ポリマー(プラスチック)タイプで、低融点ポリマー中に導電性粒子が分散していて、その融点前後で導電性粒子の接触‐絶縁状態が急激に変化することで、抵抗値が大きく変化します。
つまり、ある温度まで一気に上がり、その後抵抗値が急激に増大することで、電流が流れにくくなり、発熱量が小さくなります。
このようにして、パネルヒータは一定温度を保つように働いているのです。
使用するポリマーの融点によって、保持温度を制御できるはずです。保持温度45℃前後のものが多いですが、メーカーによって、温度があまり上がらないものがあるのは、このためだと考えられます。

パネルヒーター正しく使おう

さて、こんなに素晴らしい温度制御機能をもつパネルヒーター、もちろん我が家でも使用しています。現在、5枚稼働中です。
しかし、使い方を間違えると大変なことになります。

ある日、事件が起きました。
当時の状況はこんなかんじです。(ダメな例)

プラケースに土を入れ、トカゲ飼育ケージとして使用していました。(本ケージを用意するまでの仮の家です)
プラケースは背が低く、蓋がなかったのでトカゲに脱走される心配がありました。このためプラケを、一回り大きな衣装ケースに入れ、万一、プラケから脱走されても、外に逃げられないような対策をとりました。
このとき、パネルヒーターはプラケと衣装ケースの間に入れました。
衣装ケースはプラケよりもだいぶ大きく、隙間があり、トカゲがプラケから出た場合、落ちて戻れなくなる可能性があったので、その隙間をタオルで埋めてしまいました。

その結果・・・
(トカゲの家)プラケ、パネルヒーターが溶けて穴が開いてしまいました。!!!アワワワワワ さらに、下敷きとして使っていたジョイントマットも溶けていました。最低でも、80℃以上もしかしたら100℃以上になっていたかもしれません。
もっと状況が悪ければ、「飼い主の家が火事」なんて可能性もあったでしょう。
ちなみに中のトカゲは無事でした。

こちらが溶けたパネルヒーターです。(左:表側、右:裏側)
裏側まで穴が開いてしまいました・・・

なんということでしょう。

下に敷いていたマットまで!

 

我が家で使用中のパネルヒーター紹介

今回溶けて穴が開いたのはコチラです。事件発生後も、同じものを購入して使用しています。設置方法さえ誤らなければ、安くて、お勧めできる商品です。サイズも豊富で、同じ金額で他メーカーよりもワンサイズ大きなものを購入できます。

何度も書きますが、正しく使えばとても良い商品です 🙂 

なぜ温度が上がって穴があいたのか

「(安全なはずの)パネルヒーターの仕組み」から推察します。

①発熱はとまらない。
・・・一定温度に達した後、急激に抵抗値が増大する・・・

急激に増大するだけであって、決して絶縁体とはならないのです。今回のように、土やらタオルやら断熱マットやら覆いまくった場合、温度は、緩やかではありますが、どんどん上がっていきます。

②溶けやすいプラスチックでできている。
・・・低融点ポリマー中に導電性粒子が分散している・・・
低融点ポリマーが具体的に何なのかわかりませんが、45℃前後で分散粒子の移動が活発になるのであれば、私たちが普段使用しているプラスチック製品より、軟化温度が低い(溶ける温度も低い)と考えられます。

使用上の注意

パネルヒーターによっては、今回のようにジョイントマットのような断熱性が高いものを下に敷くことをハッキリと禁止しているものがあります。

その一方で、保温効果を上げるために、断熱材を敷くことを推奨しているものもあります。

ちなみに我が家では、現在も断熱材の上にパネルヒーターを設置しています。(さらに、溶けたパネルヒーターと同じ製品を、事件後も購入して、何枚も使用しています。)
大切なことは、パネルヒーターの「安全」という謳い文句を過信せず、新たに設置したとき、設置方法を変えた直後は、必ず温度が異常に上がらないか観察することです。

 

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