暖突の仕組みから効果的な取り付け方を考える

暖突とは

暖突は(主に)「輻射伝熱」を利用した加熱器具です。

主にと書いた理由は、実際のところ輻射によって温められたレンガに生体が接することで生体に熱が移動したり(伝熱)、レンガや壁面の温度上昇により空気が温められ、雰囲気全体の温度も上昇(対流)するためで、現実では、輻射だけということはあり得ません。

輻射効果(効率)については、シュテファン=ボルツマンの法則が大雑把で簡単にイメージしやすいと思います。
E0=単位面積当たりに伝わる熱量(暖突と被加熱体の距離は0)[W/m2]、ε=放射率、σ=シュテファン=ボルツマン定数、TA=暖突表面温度、TB=被加熱体表面の温度とすると
E0=εσ(TBTA4 で近似されます。

下の図のように暖突と被加熱体の距離が大きくなると熱は拡散しますので、暖突直下(距離L0)をE0とすると、E1E2の場合、加熱される面積が大きくなっていることが分ります。暖突
この面積は、距離の2乗に比例するため、L=暖突と被加熱体の距離 とすると、距離を考慮した場合の伝わる熱量E
E=E0/L2 で表されます。

2つの式を合わせると、
E={εσ(TBTA4 }/L2

つまり、上の式から効果をより発揮する(Eの値が大きくなる)ためには、

1.TBTAの値を大きくする:暖突と被加熱体の温度差を大きくする
2.εの値を大きくする①:暖突の表面の輻射率を上げる
3.εの値を大きくする②:被加熱体の表面の輻射率を上げる
4.Lの値を小さくする:暖突と被加熱側の距離を近づける

1.は、暖突を改造するしかなく、表面温度も上がり、生体に危険を及ぼす可能性があるため現実的ではありません。

2.は、表面の不織布を別の、もっと輻射率が高い材料に変えればいいのですが、室温付近での布の輻射率はすでに十分高く、変えても大きな効果が期待できないと思います。
(暖突表面の温度は、100℃位ですのでウィーンの変位則によれば、10μm前後の波長の電磁波(遠赤外領域)が最も出ていることになります。もし暖突表面の温度が、1000℃とかになるのであれば電磁波の波長のピークが短くなりますので、カーボン(大気中では燃えてしまいますが)やSiCといった黒体(完全放射体)に近い特性を持つ物質の方が効率が良くなるはずです。)

3.は、とかげのウロコに輻射率の高い塗料をペイントすれば良さそうですが、かわいそうです。それに、ウロコは人間の皮膚同様、遠赤外領域での輻射率がかなり高いのではないかと思っています。

4.近ければ暖かいのです。これだけは、実践可能です。生体が危険にさらされないように、工夫して取り付けてみてください。

効果的な取り付け方

上に記した通り、輻射効率の良い設置の仕方の一例です。

Dantotsu how mounting

Dantotsu how mounting

上からチェーンで吊っています。ホームセンター等に売っている切り売りのチェーンを使用しています。熱による変質などを考えて金属のものを選びました。天井とチェーンはキーホルダーを通して繋いでいます。キーホルダーのおかげでケージを傷つけずに設置できますし、補強も兼ねています。

Bearded Dragon rides on the plate

暖突を吊るす場合
元気なトカゲの場合は上に乗ったりしますので、その辺の紐ではなく、しっかりしたものを使用しましょう。

 

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